ご案内

すべてのことを正直に話すことが必ずしもいい結果につながらないこともあるので担当の医者が信頼できないと思うなら、転院をためらう必要はない。
ただし、転院を考える前には、医者との気持ちのすれ違いがないかしっかり確認する。 医者との間にも相性はある。
相性は自分の目で確かめてみて。 病院や医者を、目的に応じて使い分けることも考える。
よい病院探しは、まず総合案内、医療相談窓口を訪ねることから。 かかりつけの開業医の紹介や仲の良い友人からの評判もあなどれない。

「この先生はすごくいやだ。 だけど、人間、どこかいいところがあるはずだから、きらったりしては申し訳ない。
治療を受けたりしてつき合っているうちに、いいところも見つかるかもしれない」という考え方は、通常の友達づき合いではとてもいいことですが、患者さんとその家族の発想としては危険です。 なにしろ、患者さんの命や健康がかかっているのですから。
状況が変わっても、家族や患者さんが思っているほど、医者の性格は変わりません。 ある程度話をしてみて信頼できないと思ったら、医者の性格が変わることを期待するよりは、家族でじっくり話し合って、転院することをすすめます。
一度入院してからでは、転院を切り出しにくいものです。 さらに、手術や抗がん剤などの治療がひと通り終わってからの転院は、いろいろな点で不利。
ホスピス以外の病院は、病状が進んだ患者さんほど入院させるのを避ける傾向があります。 また、医療者側の気持ちとしても、なるべく患者さんの病状は最初から診たいものです。
というのも、そのほうが細かい病状の変化や患者さんの体質がわかって、よりその人に合った治療ができるからです。 なるべく転院は入院、治療の前に決めるのがベターですときには「嘘も方便」と割り切って病院が転院をすすめているときならともかく、今かかっている病院が信頼できなくて転院を考えているときには、なかなか話を切り出しにくいものです。
正直に理由を言ってもいいのですが、医者や病院によっては「そんな恩知らずなことを言うなら、勝手に出て行け」と怒鳴って、紹介状を書いてくれないこともあるとか。 怒らないまでも、たとえば今、内科にかかっている人が、「別の病院の内科に紹介状を書いてほしい」と切り出すことも、あまりいい顔はされないでしょう。

しかし、なるべくなら紹介状をもらって円満に転院したいものです。 もちろん紹介状がないからといって診療を拒否されることは少ないのですが、特定機能病院では診療費が余分にかかってしまうこともあります。
紹介状はないより、あったほうが絶対に有利です。 現在の主治医がセカンド・オピニオン(今かかっている医者のほかに、もうひとり意見を聞いたり相談したりできる医者を持つこと)に理解がありそうだったら、「他の先生のお話も聞いてみたい」と真実を語って、紹介状を書いてもらいましょう。
病気がかなり進行しているようであれば、「ホスピスを受診してみようと思うのですが」と話してみる方法もあります。 医者はプライドが高いので、自分と同じ科の医者に紹介状があります。
でも、そんなことを言ったらカンカンになりそうな主治医だったら…?そこで登場するのが「嘘も方便」です。 本当の理由を言って波風を立てる必要はありません。
上手な言い訳をしてうまく紹介状を入手して転院にこぎつけましょう。 言い訳としては、以下のようなものが無難です。
「家族が看病に来やすいように、家(もしくは職場)の近くの病院に行きたい」「今度、地方転勤が決まって(もちろん嘘です)移らなければならないんです」「(今かかっているのが小さい病院なら)念のため、大学病院にかかってみたいのですが」「知人に強くすすめられて、どうしても受診を断れなかったんです」このような転院の理由はよくあるので、不審に思われにくいと思います。 また、埼玉県川越市にあるT病院のように、東洋医学や民間療法も積極的に取り入れていることで有名な病院がありますが、「民間療法に力を入れている病院や特殊な療法をやっている病院にかかってみたい」という理由ならば、主治医も納得してくれる可能性があります。
自分の専門の紹介状を書くのはためらいますが、専門外の科や病院に対してはあっさり紹介状を書いてくれるものです。 こうした方法で、紹介状をもらえればしめたもの。
紹介状の宛名書きは、「地方に転勤した先で、病院を友人に紹介してもらうことになっているので、まだ受診するところが決まっていない」とか何とか嘘をついて、病院名を入れてもらわず「○○科外来担当医先生」とだけ書いてもらえると使いやすいですね。 万が一、行きたい病院ではない病院宛てに紹介状を書かれてしまっても大丈夫です。
また、主治医に話した通りの転院先に出向く必要もありません。 行きたい病院を受診して、「最初、別の病院(紹介状の宛名の病院)に行こうと思ったのですが、知人からこちらの病院がいいとすすめられまして…。

だから、病院の宛名は違うのですが、診ていただけますか」と言えば診療は受けられます。 医師としてはあまり大声で言いたくない話ですが、いくつか病院を訪ねてみたかったので、紹介状を開封してコピーを取り、別の封筒に表書きを書いて紹介状を複数作成したという人もいました。
手を尽くしたのに紹介状がもらえず、それでも転院したい際には、かかりたい病院にひとまずかかってしまいましょう。 そして、受診先の新しい病院の医師から元の主治医宛てに「そちらの患者さんの病状をご紹介ください」という手紙を一筆書いてもらえば、OKです。
こういう状況下では、元の主治医も紹介状を書かざるを得ません。 このとき、わざわざ元の主治医の外来を受診して、怒りのとばっちりを受ける必要はありません。
新しい医師にもらった手紙は、受付に提出して、「紹介状ができ上がった頃に取りにうかがいます」と伝言してくればいいのです。 それから、転院の際はレントゲンフィルムを借りることも忘れずに。
これは、外来の受付で頼めば、たいていの病院なら貸し出してくれます。 レントゲンフィルムがあれば、患者さんが「次の病院に行ってまた一から同じ検査をされる」という状況に陥らずにすむかもしれません。
ところで、借りたレントゲンフィルムは、次に行った病院に持っていけば、そこの病院の管理物になって自分の手元には残りません。 そこで、もうひとつアドバイス。
レントゲンフィルムを何かのときのために保管しておきたいという人は、そのレントゲンフィルムを窓ガラスなどの明るいところに持っていって、ふつうの写真に写しておくといいでしょう。 現物ほど鮮明ではなくても、専門家が見ると、ある程度の診断の目安をつけることができます。

よく、私のクリニックにも、そんな写真を持参して「今の主治医が話していることは正しいのか」と聞きにこられる方がいます。 主治医が替わってもレントゲンやカルテがあれば大丈夫「転院して先生が替わると、これまでの病状をきちんとわかってもらえないんじゃないだろうか。
検査などでいっそうの負担がかかることになっては、元も子もない」そんな不安は、きっと誰しも抱くはずです。 特に手術を受けた方の場合は、執刀した医師がいちばん病人の体のことをわかっているでしょう。

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